若狭めのう細工

福井の伝統的工芸品若狭めのう細工

若狭めのう
若狭めのう細工

今回は国指定の伝統工芸でありながらでも、絶滅に瀕している伝統工芸との取り組みを紹介します。

若狭めのう細工とは

一言で言えば石を切ったり削ったり磨いたりの工程を経て加工する産業ことです。その材料は瑪瑙(メノウ)という天然石でダイヤモンドの次に硬い硬度があるとのこと。30年ほど昔は福井県若狭地方でも採石されていたと言われていますが、職人が知る限りでは北海道から仕入れていた過去があるそう。近年だと海外輸入が主流となり、ブラジルから輸入されていたとのこと。石細工の産地としては先駆けとなっており、下記の実績があるそうだ。

  • 伊勢神宮の式年遷移の際に神物として奉納されたことがある
  • 勾玉生産地「島根県」のお手本にされている産地である
  • 歴史は古く奈良時代からあったと聞くが今では職人が2人のみで組合も消滅した

若狭メノウ細工唯一の伝統工芸士は84歳の一人のみ。材料のメノウと器具は廃業した先から取り寄せるなどして繋がっているが、40代の「福井7人の工芸サムライ」のメンバー1人が廃業すると確実に絶滅してしまう。

若狭めのう細工 動画NHK

若狭めのう細工の職人を訪ねた

そんな絶滅の危機である福井の国指定伝統工芸「若狭めのう細工」の若き職人を訪問し、なぜ絶滅危惧種にあるのか理由を探りに話を聞き、作業風景も見せてもらった。

これはメノウ(石)の原石

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若狭めのう細工の作業工程

  1. 原石の大きさ形状、色目から作品をイメージする。
  2. 石(メノウ)を切断し焼き入れすることでメノウに含まれるグレー色の鉄分が化学反応し鮮やかな赤褐色にする
  3. 延々とノミの先に形状にあった金属ヤスリをつけてメノウに穴を掘っていく
  4. ロクロのような大きな平面の回転やすりでメノウのカタチを整える
  5. ③④の繰り返しを延々と行う。

20秒くらいからメノウ作成動画です。

伝統工芸【福井7人の工芸サムライ】福井・匠百景 - YouTube

福井にある7つの国指定伝統的工芸品の作成動画。【福井7人の工芸サムライとは・・・】福井にある7つの国指定伝統的工芸品の若手職人グループです。・自然と調和した先人…

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そして研磨も樹脂や金属のような回転バフを使うが時間が想像以上にかかる。目安は1時間で1mmくらいを削るペースだそうだ。非常に手間がかかるため当然コストがかかる。そして時代は流れ硝子(ガラス)が生まれ、陶器が生まれ、プラスチック(樹脂)が生まれていった。高価で納期のかかる若狭メノウ細工は現代ライフスタイルの変化と共に生活用品としての存在意義は薄れ、和室がなくなり床の間もなくなるとメノウを飾るスペース自体がなくなっていった。当然需要がなくなればメノウ細工も売れなくなる。

伝統工芸・若狭メノウ細工の可能性

過去に素晴らしい実績のある若狭めのう細工でも、現代のライフスタイルに合わすには困難である。そこで新たな商品になる可能性として素材そのものの素晴らしさを表現できたらと考えた。なぜなら硝子とは違う重厚感と暖かみを感じたから。手を抜く訳ではないが、なるべく手をかけずにアイデア次第でまだまだ現代のニーズにあった商品化可能性は高いと感じている。何層にもなった積層は断面によりさまざまな表情をみることができる。そして生まれたメノウを使った新商品として下記を考えてみた。

※メノウのキレいな色目を使い、あえて割っぱなしの状態にし形状はランダムに

コンセプトは「世界に一つだけのネックレス

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それこそ「めのう細工」は置物がほとんどだという伝統を一旦壊して技術を使って生まれ変わるチャンスでもある。

職人や道具をなくしてしまったら復元はかなり難しい。

今首の皮つながっているこの状態をなんとか打破したい。日本の素晴らしい先人達の知恵をここで絶やす訳にはいかない。みなが幸せになるプランを実行していきます!

最後に伝統工芸・若狭メノウ細工を考える

福井県コウノトリを保護するのに絶滅危惧種の伝統工芸・若狭めのう細工を保護しないのだろうか。ここ数年で劇的に伝統工芸の世界は下降の速度を早めている。目の前の誇るべき福井に根付いた貴重な文化財産である伝統工芸をなぜ保護しないのだろう。なくなってしまえば先人の知恵、道具、想いは二度と戻らない。先人たちが残してくれた財産を無駄になってしまうという事に気付いていない。

時代に合っていないから仕方がないという人もいるだろう。確かに数100年前のマーケット感覚だと市場に合わない。ただ、それは大きな間違いである。時代に合うような商品作りを手助けするのが保護するべき立場の仕事ではないだろうか。僕はそんな偉そうな事なんて言える立場ではないが誰かが発信しないと手遅れになってしまう。

一人でも知ってもらって伝えていくことが少しでも保護できていけるのであれば僕はいくらでも発信しつづける。

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