越前打刃物(えちぜんうちはもの)は、
福井県越前市で生まれた日本が誇る伝統的な金工品です。
その歴史は700年以上にわたり、
1979年には全国で初めて伝統的工芸品の指定を受けた刃物産地
としても知られています。

越前打刃物は刃物業界では日本初の伝統的工芸品です
の情報もご紹介します。
・越前打刃物の歴史と進化の物語
・越前打刃物の体験スポット情報
越前打刃物の特徴と技法


越前打刃物の最大の特徴は、熟練した職人による手作業での仕上げです。
この手仕事によって、軽くて薄いのに強い刃物が生み出されます。
鋼を約800〜900度に熱し、必要な大きさに鍛造する。
地鉄を割って溝を作り、鋼を挿入。1000°C前後に熱して叩き、鋼と地鉄を接合。
包丁の平らな部分を形作り、一丁分の大きさに切り落とす。
包丁の柄の部分を作る。
刃の部分を二枚重ねたまま裏表から打ち、均一な厚みと高品質な仕上がりを得る。
約800°Cまで加熱後、自然放冷して内部応力を取り除く。
荒研ぎ → 中研ぎ → 刃付け → 仕上げ研ぎと段階的に研ぎ上げる。
参考:福井編伝統工芸品
越前打刃物の歴史と刃物業界での位置付け
越前打刃物(えちぜんうちはもの)は、
福井県越前市で700年以上の歴史を誇伝統的な工芸品です。
その起源は南北朝時代(1337年頃)に遡り、
日本の刀匠・千代鶴国安が越前の地で農民のために
鎌を作り始めたことが始まりとされています。
この技術は現在に至るまで受け継がれています。



千代鶴国安は架空の人物かもしれないって噂もあります
刃物業界全体で長い歴史を持つ刃物産地が存在します。
越前打刃物の特徴と歴史に加え、他の刃物産地との比較や、
越前打刃物が持つ特別な魅力について詳しく解説します。
越前打刃物歴史の起源


越前打刃物の特徴は、農具から家庭用包丁まで
幅広い製品を高品質に仕上げる独特の技術にあります。



機械化が進む前は農業用刃物をメインに作っていました
京都の刀匠・千代鶴国安が越前市(当時の府中)に移住し、刀を作る技術を応用して鎌を製造し始めました。
越前打刃物は刃物産地として全国で初めて国の伝統的工芸品に指定されました。
国から伝統的工芸品に指定は、
その技術と品質が高く評価された証拠です。
越前打刃物の歴史と発展


- 福井藩の保護を受け、鍛冶株仲間が組織されました。
- 越前漆器の漆掻き職人が全国を回る際に越前の刃物を販売し、販路が全国に拡大しました。
1874年(明治7年)には、越前の鎌が全国生産量の約3割、包丁が約25%を占めるまでに成長しました。
1979年(昭和54年)に、越前打刃物は打刃物業界で初めて国の伝統的工芸品に指定されました
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【越前打刃物 NFT】
国内だけでなく海外からも注目を集め、職人が生み出す美しいデザインと圧倒的な切れ味の良さが特徴。
この技術は700年以上にわたり、職人たちによって語り継がれてきました。
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【参考】
・KOGEI JAPAN
・タケフナイフビレッジ


刃物が有名な県
日本には越前以外にも長い歴史を持つ刃物産地がいくつか存在します。
その一部を紹介します。
・堺打刃物(大阪府堺市)
・関の刃物(岐阜県関市)



この二つの産地は産業として今も健在です
- 堺打刃物(大阪府堺市)
-
16世紀頃から始まり、鋭い切れ味と高品質な調理器具で知られています。
- 関の刃物(岐阜県関市)
-
鎌倉時代(13世紀頃)に起源を持ち、武士の刀や現代の刃物まで幅広く製造されています。
これらの産地も、それぞれが独自の伝統と技術を守り続けており、
越前打刃物と並ぶ重要な存在です。
越前打刃物の歴史と魅力


越前打刃物は、特に以下の点で他の刃物産地と一線を画します:
打刃物業界で初の伝統的工芸品指定
幅広い製品展開
伝統技術の進化



現代では農業用刃物は減り包丁やナイフが主流です
他産地に先駆けて国からの指定を受けたことは、越前打刃物の技術と品質の高さを象徴しています
包丁だけでなく、農具や鎌など多用途の刃物を製造しています。
日本刀製作の技術を応用した火づくり鍛造や二枚重ね技法など、現代にも通じる高度な技術を持っています。
越前打刃物職人の伝統工芸士は現在22名


現在も伝統的な技法を守りながら、
新しい鋼材の使用やデザインの研究など技術革新を進め、
国内外で高い評価を得ています。
最近はデザインナーとのコラボなどで、スタイリッシュな刃物が世界で認められています。
刃物業の発展祈り「古式鍛錬」再現 越前打刃物、福井県越前市で初打ち https://t.co/G1jcrU7MbH
— 福井新聞メディア (@fukuinpmedia) January 1, 2025
越前打刃物の伝統工芸士は22人おり、
伝統の技を次世代に継承しています。※2025年現在
元旦には刃物の発展を祈り「古式鍛錬」が毎年行われます。
越前打刃物は金工品


刀匠から始まったその技術は、鎌や包丁などの生活道具へと受け継がれ、
今もなお職人の手によって一つ一つ丁寧に作られています。
金工品はさまざまな金属を加工して作られる工芸品です。
金工品の概要
分類 | 説明 | 代表例 |
---|---|---|
刀剣類 | 刀やその装飾品 | 日本刀、鍔(つば) |
仏具 | 仏教関連の金属製品 | 仏像、香炉、梵鐘(ぼんしょう) |
装飾品 | アクセサリーや装身具 | 指輪、かんざし、ブローチ |
工芸品 | 美術的な金属工芸品 | 茶器、花瓶、壺 |
日用品 | 実用的な金属製品 | 鍋、釜、包丁 |
日本でも多くの工芸品が作られており、
越後三條刃物や高岡銅器、南部鉄器、東京銀器など
日本の伝統的工芸品に指定されているものも多くあります。
金工の技法
技法名 | 説明 |
---|---|
鍛金 | 金属を叩いて成形する |
鋳金 | 溶かした金属を型に流す |
彫金 | 金属に彫刻を施す |
鍍金 | 表面に別の金属を被せる |
象嵌 | 異なる金属をはめ込む |
日本の代表的な金工品
産地 | 代表的な金工品 |
---|---|
岩手県 | 南部鉄器(急須・鍋) |
富山県 | 高岡銅器(仏具・装飾品) |
京都府 | 錺(かざり)金具(寺社の装飾) |
全国 | 刀剣・鍔 |
金工品とは
金属を加工して作られた工芸品や製品のこと。
刀剣、仏具、アクセサリー、茶器、日用品などが含まれる。金工品とは
技法には、金属を叩く「鍛金」、鋳型に流し込む「鋳金」、彫刻する「彫金」などがある。
日本では南部鉄器や高岡銅器などが有名。
金工品としての越前打刃物


金工品としての越前打刃物
硬い鋼を軟鉄で挟む独自技法により、鋭い切れ味と高い耐久性を両立。包丁は食材の細胞を壊さずに切れる。
すべての工程が熟練職人の手作業。鋼を鍛え、形を整え、研磨する中に職人の魂が込められている。
包丁、鎌、鉈、鋏など、多種多様な道具を製造。用途ごとに最適な形状と材質が選ばれている。
機能性だけでなく、シンプルで洗練されたフォルムに職人の技術と美意識が表現されている。
適切な手入れをすることで長く使用可能。使い込むほど手になじみ、愛着が深まる。
越前打刃物のお手入れ方法
越前打刃物を長く使うためには、適切なお手入れが必要です。
越前打刃物は、700年の歴史と職人の技が息づく、究極の金工品です。
その切れ味の良さ、美しいデザイン、
そして長く使える耐久性は、多くの人々を魅了しています。
現代における越前打刃物


越前打刃物は、伝統を守りつつ現代のニーズに応える形で進化を続けています。
特に、以下の点が注目されています:
- 高品質な調理用具の製作
-
包丁を中心とした製品は、国内外で高い評価を得ています。プロの料理人だけでなく、家庭用としても人気があります。
- 製品ラインナップの多様化
-
農業や林業、園芸、漁業など、さまざまな分野で使用される道具も手がけています。
- 技術革新とデザインの進化
-
新しい鋼材の採用や、現代的なデザインの研究によって、実用性だけでなく美しさも兼ね備えた製品が作られています。
職人たちは、軽くて薄い、強くて長く使える刃物を目指して日々研鑽を続けています。
その技術力と情熱は、国内外の展示会やメディアを通じて高く評価されています。
参考:JAXURY
越前打刃物の歴史と魅力を体感できるスポット


タケフナイフビレッジ
福井県越前市にある「タケフナイフビレッジ」は、
越前打刃物の魅力を存分に楽しめる観光スポットです。
ここでは、以下の体験やアクティビティが楽しめます:
- 刃物の製作体験
- 職人の作業見学
- 越前打刃物の購入
- 歴史と技術を学ぶ展示
🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸
— 福井テレビ newsイット! (@ftbnews8) May 22, 2024
5月23日(木)の「#newsイット!」
🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸
夕方6時9分から放送📺
約700年の歴史がある越前打刃物。#タケフナイフビレッジ では、職人が刃を重ねて同時に薄く伸ばす工程が見学でき、家庭用からプロ用まで約300点の包丁がそろいます。海外からも多くの観光客が訪れるスポットです! pic.twitter.com/AJ6j3pOGQK
実際に鍛冶職人の指導を受けながら、包丁やナイフの製作を体験できます。完成した作品は、自分だけのオリジナル刃物として持ち帰ることができます。
熟練の職人が実際に作業する様子を間近で見ることができ、その技術の高さに感動すること間違いなしです。
現地では、職人が手がけた高品質な刃物を直接購入することができます。家庭用からプロ用まで、幅広いラインナップが揃っています。
越前打刃物の歴史や技法についての展示があり、刃物の奥深さを知ることができます。
福井の越前打刃物で有名なタケフナイフビレッジでは作業する職人たちの現場を見学できる通路があります
— しつちょう【松浦機械未来戦略室】 (@yuto_matsuura) November 15, 2024
迫力のある音や熱気が外界からのノイズを遮断するような不思議な感覚があって、職人が実直に作業する姿にただただ没頭してしまうんです… pic.twitter.com/hHyo6FpYH9
越前千代鶴の館


「越前千代鶴の館」は、越前打刃物の歴史を深く知ることができるスポットです。
この館では以下のような体験が可能です:
- 刀匠・千代鶴国安の歴史を学ぶ
- 日本刀の鑑賞
- 刃物文化の解説映像
- 職人のデモンストレーション
越前打刃物の始まりを築いた千代鶴国安の業績や歴史についての展示があります。
千代鶴国安が手がけたとされる日本刀や、越前打刃物の原点となる刀剣を見ることができます。
映像で刃物製作の工程や越前打刃物の特徴について学べます。
実際に職人が作業する様子を見学できる機会があるほか、製作の細かい技術について解説を受けることも可能です。
次に隣接する越前打刃物会館と越前千代鶴の館(越前市打刃物振興施設)を訪ね、熟練の伝統工芸士 北岡英雄様の片刃包丁の火造りの作業を拝見し、ご説明を伺うことができました。 pic.twitter.com/B0O7SgCtl9
— 駿府大御所刀工館 (@sunpu_toukoukan) April 21, 2024
まとめ
越前打刃物は、700年の歴史とともに培われた伝統技術を守りながら、
時代とともに進化を続ける日本の工芸品です。



刃物の伝統に触れてみてくださいね
「タケフナイフビレッジ」や「越前千代鶴の館」を訪れることで、
越前打刃物の魅力やその背景にある深い歴史を体感できます。
職人技が生み出す刃物の切れ味と美しさに触れることで、
さらにその魅力を感じることができるでしょう。


関連リンク
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越前打刃物の世界を楽しんでください!